数学において解放暗記は意味ない?理系東大生が解説。

巷ではよく「数学は解放暗記」という主張がなされています。

この主張は半分正しいですが、これを意識して学習することには全く意味がないと思います。

今回は実際に受験数学を勉強した経験から、「数学は解放暗記」についての私の考えを詳しく説明していきたいと思います。

牛タン

僕は叙々苑に受かるためにホルモンの種類を覚えてるよ!
ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ!

マトン

数学はこういう単純な暗記物とは違うんやで。

目次

「数学は解放暗記」は意味ない

数学においては同じようなパターンが様々な問題において登場するため、ある問題が頭に入っていればその部分は自動的に処理できることになります。

しかし、「数学は解放暗記」と意識して勉強をすると、問題と対応する式の関係を一般化しすぎてしまうことがあります

例えば、「二次方程式の解が一つ→判別式が0」という言葉のみを覚えていたとします。すると、問題がより複雑になってもこの部分だけは自動的に式に変換することができますね。

この状態で「二次方程式ax^2+bx+c=0が0<x<3の解を一つ持つ」という条件を同値変形してみましょう。すると、「(判別式)=0かつ~」というように(判別式)=0は絶対かのように扱ってしまいそうです。

しかし、実際には判別式>0の場合もあり得ますよね。

このことは、判別式というものがどのようにできたのかを知っていれば間違える余地もありません。

このように、数学を勉強する際には「正しく理解する」ということが必要不可欠なのです。

もちろん、数学には覚えなければならないことも存在します。

例えば、「ある式を微分せよ」という問題に対して、いちいちlim=~と定義に戻って解くこともできますが、そんなことをしていては日が暮れてしまいます。試験の際は結果を覚えていないと時間内に解くことができません。

このような既に証明されている「定理」を覚えることは、数学において重要なことです。

以上のことをまとめると、

数学における暗記は、(x^2)’=2xのように証明されて一般化されたものであれば意味がある、「二次方程式の解が一つ→判別式が0」のように一般化できないものにおいては意味がないと言えるでしょう。

そして、定理というのは問題を解く中で自然と覚えるものですし、ここは覚えなければならないというのも問題を解く中で自然と分かるはずです。

その意味で、「数学は解放暗記」という主語の大きいスローガンを掲げて数学を勉強していくことに意味があるとは思えません

学習の進め方

数学を暗記だと思って勉強するべきではないという主張をしましたが、それではどのように学習を進めていけばよいのでしょうか。

ここでは、私がどのように学習を進めていったのか、具体的な学習法をお伝えしていきます。

最初の最初は解放暗記で良い

数学の勉強を始めて間もないときに関しては、誰しも簡単な問題の解法暗記を進めていくと思います。

それは間違っていません。

x^2を微分したら2xになるというのは不変の事実であり、これを覚えるのは必要なことだからです。

最初のうちの問題というのは、このような「定理を覚えている⇒解ける」という単純なものが多いため、暗記を進めるだけで解けるようになっていくはずです。

しかし、それがあらかた終わった時点で、今までのように暗記を進めていこうとすると、先ほどの判別式の例のようなことが起こってしまいます。

これは難しい参考書に行けば行くほど顕著です。問題がより複雑になっていき、とてもとても一般化なんてできたものではありません。

その際に必要になるのが、一つ一つの解法をしっかり理解することです。

先ほどの例でいえば、判別式が二次方程式の解のルートの中に入る式であり、(判別式)=0なら重解になるんだ、ということを理解することです。

リフ

このような学習を進めていくことにより、私の場合は網羅系参考書の問題ならほとんど解けるという状態まで行くことができました!

しかし、ここで壁を感じ始めます。大体高二の終わりぐらいの時期に「ハイレベル数学1A2Bの完全攻略」という参考書を始めました。

「ハイ完」と呼ばれるとても有名な参考書です。

しかし、自分の力では全く解けず、解答だけは読めばかろうじて理解できる感じでした。

ここで私はある失敗を犯してしまいます。

なんと、問題とその解答を照らし合わせてひとつずつ覚えるという謎の行動を取ったのです。

2周ぐらいして、まあ何となく覚えてるかなーって感じになったのですが、何も身についた気がしない。

1つの参考書をやり込むべきだと言われても、これ以上深く自力で理解出来る気がしないしどうすればいいの??となったわけです。

この時が受験を通して1番辛かったような気がします。

これは私の意見なのですが、「深く理解する」という点においては、人それぞれ自力で到達できる限界があるような気がしてなりません。

私の場合はどう足掻いても「ハイ完」を自力で解けるようにはなれなかったと思いますが、数学が得意な方ならもともとの理解が深いため軽々解けるでしょう。

逆に、世間では簡単と言われている参考書の時点でギブアップという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

人それぞれ異なるこの「一人では越えられない壁」を超えるための手助けをしてくれるのが、予備校の授業です。

私の場合は元々林修の授業を受けて自習室を利用するためだけに登録していた東進で、数学の講義を受け始めました。

論理を勉強する

東進の授業は当時の私にとって目からウロコでした。

数学Ⅰの授業で誰しも1回はやったことのある論理・命題の単元。

受験にも出ないしこんな無駄な単元はないだろうと思っていたのですが、東進の授業は内容的にはここから入ったんです。

かつ、または、同値性、存在条件、などなど、数学を基礎の基礎から勉強しなおさせて頂きました。

大学で習う記号論理学を取り入れた授業で、ここで教わる論理記号(∃や∀など)は応用がとてもききやすいと思います。

最初に論理記号を用いて答えを表現し、後はそれを同値変形するだけという解き方はかなり分かりやすいです。

また、数学Ⅱで学ぶ軌跡・領域の分野の問題は、特に論理と深い関係にあります。論理が分かっていれば、解き方の道筋が見えないことはない問題です。

軌跡・領域は東大では頻出なので、東大を受ける方は特に論理の学習が必須だと思います。

東大数学の軌跡領域を論理をしっかり学んでから解くとどのような答案になるのか、以下の記事で詳しく解説しているので参考にどうぞ。

ベクトルについて学ぶ

図形問題はよく入試に出題されますよね。

まずは幾何的に解けないか調べて、ダメなら座標系を設定して解くと思うのですが、このときにベクトルを上手く使えるか否かで手間がだいぶ違ってきます

ベクトルという単元を既に習った人は多いと思いますが、ベクトルはベクトルの問題の時にしか使わないという方が多く、これは本当にもったいないことです。

ちなみに、ここで紹介した論理とベクトルについて、私は青木純二先生の「数学の神髄」という授業で理解を大きく深めることができました

ベクトルについては使い方というよりも、内積などの根本的な考え方から植え付けてくれる感じです。

師の考え方を理解すれば、ベクトルの回転なども複素数を使わずに自然に出来るようになってしまうでしょう。

解析幾何(座標に落とし込んで解く図形問題)では、ベクトルを第一選択肢にしたくなると思います。

青木先生の授業については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にどうぞ。

新課程で数学Cという単元が追加されましたが、文系の方でもベクトルは履修することになっています。しかし、これに対してがっかりするべきではありません。どうせ入試から図形問題はなくならないので、ベクトルという便利な道具を新課程でも学べることは大きなメリットです。(そう感じられるように勉強していきましょう。)

難しい問題にチャレンジ

このように数学に対する理解を深めたらいよいよ、過去問や難しい参考書にもチャレンジすることができます。

数学の問題の考え方が分かるようになってからこのような難しい問題を解くと、しっかりと戦うことができるようになっているはずです。

解ける問題が増えたのはもちろんのこと、解けなくてもなぜ解けなかったのかが分かったり、この問題のこの部分は覚えていなければ無理だと判断がついたりするようになります

リフ

私も上で紹介した「ハイ完」という参考書に再挑戦し、しっかり戦えるようになっていることに驚きました。

ここまで来たら後は問題演習をどんどん積むだけです。

まとめ

東大受験生の中では数学があまり得意でなかった私からすると、「一人では越えられない壁」は予備校を活用することでしか超えられなかったと思います。

この壁の位置は人それぞれですが、そこに到達するまでは独学で頑張るのが時間的にも金銭的にも最善でしょう。

しかし、そこに到達したと自分で感じたときに、予備校を利用できる環境があるのであれば、独学にこだわることなく利用することをおすすめします。

数学の論理が分からない状態でやみくもに問題演習を積んで壁と格闘するのは本当に非効率的なので、先に予備校の講義で論理を身につけてしまいましょう。

ちなみに、私が東進で授業を受けた数学の先生は青木先生のほかにもう一人いて、長岡恭史先生という先生です。

どちらの先生もとてもおすすめなのですが、両師には大きな違いがあります。

長岡先生が厳密な証明をされるのに対し、青木先生は感覚的に理解させるような説明をされるという点です

私は長岡先生→青木先生の順に授業も受けたのですが、今考えると逆の青木先生→長岡先生の方が良かったかなと思います。最初は感覚的な理解をするべきだと考えるからです。

また、どちらの先生の授業でも論理はやはり最重視されており、論理記号を用いた説明がなされますが、青木先生は特に論理記号を多用され、記号論理学の解説も詳しめです。

したがって、初めて数学の論理を学ぶときにも、青木先生の方が理解が早いのではないかと思います。

以下の記事では、この二人の先生を含め、数学以外の東進の講座に関してもご紹介しています。よろしければご参照ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東京大学理科二類
偏差値65の高校から東大に現役合格
選択科目は化学・生物・地理
通っていた予備校は東進ハイスクール・東進東大特進コース
主に大学受験関連の情報を発信中

コメント

コメントする

目次