理系の東大受験生のうち、生物選択者の割合はあまり多くありません。
そのため、物理よりも受験に関する情報も出版されている参考書も少ないのが現状です。
しかし、生物はしっかりと準備することで安定した得点が望める科目です。
今回は実際に生物を使って東大に合格した経験から、東大生物の対策法をお伝えしていこうと思います。
生物の考察問題はパズルみたいで楽しいよ♪
だけど考察ばっかりやなくて知識もこまめに確認せんとあかんよ。
東大生物の概要
東大生物の特徴をまとめると、以下のようになります。
・大問3つ分(動物,植物はほぼ必ず出る。もう一題は遺伝や分類、進化、多様性などの総合問題)
・制限時間はもう一つの科目と合わせて理科全体で150分
・完全な知識問題が少し出題されるが、あとは考察問題
これを踏まえた私なりの戦略は以下のような感じです。
・目標点は30~40点。
・知識だけで確実に取れる問題がちらほらあるので、見逃しを避けるために化学より先に生物を解く。
・生物全体で使える時間は75分とし、時間になったらとりあえず化学に行く。(化学の方の簡単な問題を取りこぼさないため。)解き切れていない問題は化学の後に戻ってきて解く。
・原則、一つの大問に20分を割り当て、60分かけてとりあえず最後まで行く。(時間があと少しあれば必ず解けるならその限りではない。)
・その後の15分を解けそうで飛ばした問題に充てる。(そういう問題がなければ、先に化学に行く。化学が終わって時間が余ったら戻ってくればよい。)
目標点や時間配分の戦略は人によって異なると思うので、うまくカスタマイズして自分だけの戦略を作り出してください。
東大生物の勉強法
各単元を導入し、基礎知識をインプットする
まずは、単元を導入していきます。
学校の授業のスピードが速い方はそちらを利用すればよいのですが、学校の進度が遅くなかなか学習が進まないという方は、以下の記事でも紹介しているスタディーサプリというアプリをおすすめします。
スタディーサプリの牧島先生の授業では図などを用いて単元の概要を分かりやすく説明してくれるので、教科書を自力で読み進めるよりもハードルが低いでしょう。
また、ある単元をあらかた導入できたら、すぐに問題を解いてみることをおすすめします。
私は学校で配られた「セミナー生物」という参考書を利用していたのですが、基礎を固めるのにとても使いやすかったのでおすすめです。最後の方には典型的な論述問題を集めた項目があり、知識論述の対策もできます。
私の高校は進度が非常に遅かったので、生物を先取りしておいて、学校の生物の授業中にはこの参考書を進めていました。
問題を早めに解いた方がインプットばかりやるよりも効率的に基本事項を身に着けることができると思います。
教科書の内容を隅々まで理解し、暗記する
生物の問題では総じて知識が最重要事項になります。
純粋な語句問題や知識論述も出題されますし、考察問題に関しても知識をもとに考えていくことになります。
そして、その知識はどの範囲を指すのかというと、東大に関しては教科書からしか出ません。
これは、長年受験生物界を率い、東大の過去問を研究し尽くしてきた東進の田部先生が言っていたことなので間違いないでしょう。
つまり、教科書の内容を完璧に暗記できた人の生物の得点はほぼ確実に安定します。
物理などは例えば一問目で計算ミスをしたら大問丸ごと0点になることもあるかもしれませんが、生物は覚えているのにミスるということは考えられません。
つまり、知識をしっかり固めた生物に勝る科目はないということです。
でも、生物の教科書っていろんな出版社が出してるよね。全部買い集めなきゃいけないの?
いや、実は全教科書から重要な部分を一冊にまとめてくれてるすごい参考書があるんや。
その参考書というのが、田部先生の書いた「生物合格77講」という参考書です。
覚えるべき部分が赤くなっていたり、教科書で説明が省かれている箇所の説明を補ってくれていたりと、教科書内容を理解して頭に入れることに特化した参考書になります。
私は、この参考書を直前期まで何週も読み返して知識を定着させました。
生物を安定させたい方は、この参考書を読む時間を1日1時間は作るようにすることをおすすめします。
考察問題の対策
「生物合格77講」を使って知識を定着させるのと同時に、考察問題の練習もある程度しなければいけません。
演習材料はやはり過去問がおすすめです。10年分は解きましょう。
また生物に関しては一回解いた年度の問題をもう一度解くのも有効です。
別の年度の問題もやってからもう一度取り組むことにより、問題形式に慣れて解くスピードが速くなるだけでなく、1週目には気づかなかった考察問題のコツがつかめることもあります。
過去問が完璧になったら、模試の過去問の利用も検討してみてください。東大オープンと東大実戦の過去問が販売されており、かなり本試験に近く作られているので、演習材料に最適です。
以下、上が東大オープン、下が東大実戦です。
加えて、余裕があれば、東大の考察問題に特化した予備校の講義を受けるのもおすすめです。
私は東進の田部先生の「東大対策生物」という講座で、考察問題の対策をしました。この講座は東大型の考察問題を1コマにつき2題扱う講座なのですが、そのほとんどが田部先生のオリジナル問題で構成されています。考察問題を解く際に注意すべきことを詳しく解説してくれているので、自習では気づかないポイントに気付くことができると思います。
東進の講座に興味がある方は以下の記事を参考にどうぞ。
あとは、東大の冠模試の復習までやれば、演習量としては十分でしょう。
生物では物理と違って演習量はそこまで必要としません。それよりも上の項目で書いた教科書知識の定着の方が重要であり、時間をかけるべきところです。
考察問題を解く際の注意点
考察問題を解くときに私が意識していたことをまとめました。
田部先生の授業で教わったことと、解いていく中で私が導き出した結論が混ざっていますが、ぜひ意識して解いてみてください。
情報を整理する
生物の考察問題は本当に情報量が多く、よほど情報処理能力に自信があるのでなければ、文章を読みながら一つずつ整理していかないと混乱します。
・促進(→)や抑制(⊣)などの記号を用いて文章の内容を模式図にまとめる
・実験結果を表にまとめることで、どの条件が結果に影響しているのかを分かりやすくする
といった工夫をするとよいでしょう。
高得点をとれる論述を意識する
考察問題のほとんどは論述問題ですので、できる限りの点数をもぎ取りましょう。
具体的に意識するべきこととしては、
・一文一文を短くし、接続詞(一方,その結果,したがって,etc)でつなぐことで、論理の破綻を防ぐ
・生物学的意義を問う問題の解答の最後は、できるだけ生物の共通性(「代謝」「生殖」「恒常性」のいずれか)に役立っていることを述べる
などがコツになります。
なお、生物の共通性については、「細胞を基本単位とする」も教科書に記載されていますが、こちらを論述の締めに使う機会はほとんどありません。基本的に「代謝」「生殖」「恒常性」のどれかだと思ってください。
また、論述問題は「解答中にある用語が含まれているか」といった単純な採点基準で採点されているわけではないようなので、あくまで内容が正確かどうかに重点を置くようしましょう。
「なお」や「ただし」の後はアンダーライン
実験の説明文や設問文において、「なお」と「ただし」の後は重要な情報であることがほとんどです。
絶対に読み飛ばさないようにアンダーラインを引いてじっくり確認してください。
計算問題を落とさない
東大生物において計算問題はそこまで難しくないものが多いのですが、配点は高めだと言われています。
絶対につまらないミスをしないように、計算問題が現れたら気を引き締めて取り組みましょう。
まとめ
東大生物はとにかく教科書を完璧にすることが重要です。田部先生の「生物77講」を何度も何度も読み込んで、隅々まで確実に知識をインプットしてください。
また、理科のもう一つの科目は化学を選択する人が多いでしょう。過去問を解く際にそちらもある程度仕上がっていると、生物と合わせて本番形式の演習ができるようになります。
それぞれの問題の難易度に応じて臨機応変に時間配分を工夫したりするのもよい練習になるので、化学の勉強も生物と進度を合わせて進めておくのがおすすめです。
東大化学に向けた勉強法については以下の記事を参考にどうぞ。
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